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健康コラム

企業・健保訪問シリーズ
~健康経営 事例紹介~

昨今、「従業員の健康=企業の重要な資本」との考え方のもと、健康経営を実践する企業が増えています。「企業・健保訪問シリーズ ~健康経営 事例紹介~」では、さまざまな工夫で健康経営に成功している企業をご紹介していきます。

企業・健保訪問シリーズ
~健康経営 事例紹介~

サーラフィナンシャルサービス株式会社

トップが率先して取り組み 社内に、地域に、健康経営を広める

損害保険や生命保険等の販売代理業を主とするサーラフィナンシャルサービス株式会社。地元密着で多様な事業を展開するサーラグループの企業だ。同社は2020年に健康宣言を策定し、サーラグループ健康保険組合と連携しながら健康経営を推進。敷地内禁煙・就業時間中禁煙の実施、スマホアプリを活用したウオーキングの推奨、働き方改革等に取り組み、21年、22年の2年連続で「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」に認定された。同社の健康経営の取り組みについて、健康経営最高責任者である代表取締役社長・山下孝さん、総合企画部経営管理チーム・生駒浩司さん、サーラグループ健保組合常務理事・中込宏昌さん、事務長・小久保泰孝さんに話を聞いた。

【サーラフィナンシャルサービス株式会社】
設 立:1975年4月
本 社:愛知県豊橋市立花町57番地
代表取締役社長:山下 孝
従業員数: 63人(2022年4月現在)
2020年11月に「健康経営宣言」

──喫煙対策から着手 2年連続で優良法人認定


サーラフィナンシャルサービス株式会社
代表取締役社長
山下 孝 さん

山下さん ▶

 当社は損害保険や生命保険等を販売する代理店です。お客様に安全と安心の保険を販売している以上、我々が健康でいきいきとした生活を実践できていなければいけないと考えています。2020年に常務取締役に就任してすぐに健康経営に着手し、20年11月に健康宣言を行いました。

中込さん ▶

 サーラグループ健保組合は34社が加入しており、大規模事業所ではすでに健康経営の取り組みができているところもあります。健保組合としては、自社ではなかなか取り組みにくい小規模事業所に働き掛けて健康経営推進のサポートをしています。

山下さん ▶

 私は前職でも健康経営に携わっていたのでノウハウは持っていました。ただし、中小企業なりの工夫も必要なので、健保組合のアドバイスもいただきながら、まずはできていることとできていないことを整理して、健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定取得を目指し、2021年、2022年と2年連続で取得できました。

 最初に取り組んだのは喫煙対策です。建物の外に設置してあった灰皿を撤去して、最終的には就業時間中禁煙としました。

生駒さん ▶

 喫煙対策を進めるに当たっては社員にアンケート調査を実施しました。その結果、副流煙を受けているという回答が多かったため、受動喫煙による健康被害を防ぐ観点から禁煙を推進することにしました。喫煙率は5年前に比べて5%程度減少しています。

小久保さん ▶

 健保組合からは2021年度より禁煙補助剤の購入に補助を出してサポートしています。2021年度はグループ全体で76人が利用して約半数が禁煙に成功しました。実施時期は1月1日からで、「新年から禁煙しませんか」とPRしています。これは今後も継続していきます。

山下さん ▶

 就業時間中禁煙にすることに対して社員からの抵抗はありました。意識改革は簡単にはいきませんが、トップが強い意思を持って発信しなければうまくいかない、と思って行動しています。

──健康課題は高血圧と運動不足


サーラグループ健康保険組合常務理事
中込 宏昌 さん

中込さん ▶

 健保組合はデータヘルス計画に基づいて保健事業を実施していますが、事業所の協力がなければ進みません。今年度から厚生労働省が事業所ごとのスコアリングレポートを提供するようになりましたが、当健保組合では2年前から、事業所ごとに健康や医療費のデータを分析して、グループ企業内での比較や健康課題等について情報提供しています。サーラフィナンシャルサービスさんは、高血圧が多いことと、ウオーキングを含めて運動不足が課題であることが導き出されました。

山下さん ▶

 健保組合からデータ分析の結果について説明を受けて、なるほどと思いました。愛知県は車社会で、自動車通勤している人も多いですし、ちょっとコンビニに買い物に行くのにも車を使います。できるだけ歩こうと、健保組合が実施しているウオーキングアプリ「aruku &(あるくと)」の利用やウオーキングイベントへの参加を促しています。

小久保さん ▶

 健保組合のウオーキングイベントは春に年間の参加、秋に3カ月間キャンペーンの参加を募り実施しています。年間で1日平均7000歩超の方やキャンペーン上位者に対して表彰を行っています。アプリ登録者数は現在約500人。もっともっと数を増やしたいですね。事業所には、健康に意識が向いていない人をうまく巻き込んでいただくことを期待しています。

山下さん ▶

 イベントには私も参加していて、昨年は1日平均約9500歩になり、健保組合から表彰品をいただきました。現在も1日1万歩を目標に、徒歩通勤もしています。コロナ禍が影響して社員はますます歩かなくなっているので、ウオーキングイベントへの参加促進に加え、徒歩通勤や公共交通機関の利用を強く推奨していく予定です。

生駒さん ▶

 ウオーキングアプリに関しては年々登録者が増えていて、現在14人です。ウオーキングキャンペーンはチームを組んで参加するのですが、これが参加のハードルを下げ、周りを巻き込むポイントだと思っています。また、参加するだけでも参加賞がもらえるのは嬉しいですね。そのほか運動に関しては、グループ企業が運営するスポーツクラブと法人契約をして、格安で利用できるようにして運動の機会の提供をしています。

──特定保健指導にも率先して取り組む

中込さん ▶

 健保組合としても取り組まなければいけない重点課題があります。その1つが特定健診・特定保健指導です。

 特定健診については、被扶養配偶者の健診は35歳以上を対象に費用補助を行っていて、案内は事業所の社員の方がたを通じて届けていただいています。アンケートを毎年実施しているのですが回収率は約7割と高く、被扶養者の特定健診受診率は約67%。これも事業所とのコラボヘルスの成果だと思っています。


サーラグループ健康保険組合事務長
小久保 泰孝 さん

小久保さん ▶

 当健保組合の課題としては、特定保健指導を十分できていないことがあります。就業時間中に受けられる環境を整えてもらうなど事業所の協力を得て、また、健診時に初回面談を実施したり、リモートで保健指導を実施することで、少しずつ実施率は向上しています。

 事業所が健康経営に取り組み、健康を大事にする風土ができて、健康に対する意識が向上すれば、特定保健指導も〝やらされ感〟ではなく、〝良いチャンスを与えられた〟と受け止めてくれるのではないかと思っています。

山下さん ▶

 配偶者向けの健診はとても手厚く、ありがたいと感じています。

 また、私は特定保健指導も受けています。3カ月間、定期的に体重や血圧を測って、体重が増えないようにできるだけ歩くようにしよう、という癖はつきますね。特定保健指導を就業時間中に受けられる雰囲気づくりとサポートが重要だと思います。

中込さん ▶

 山下社長のように率先して実践していただくと社内にとても伝わりやすいんですよね。健康を大切にする意識は、職場単位でいかに風通しのよい組織にできるかにかかっていると思います。

──健康経営のさらなる広がりに向けて

山下さん ▶

 現在、健康経営の一環として、グループ全体で働き方改革に取り組んでいます。有給休暇取得率を新規付与日数の50 %以上にすること、ストレスチェックの実施、在宅勤務や時差勤務等の制度を整備していつでもどこでも仕事ができる環境をつくり、働き方を選べるようにするなど、できることから取り組んでいます。

生駒さん ▶

 働き方の変化に対応して、SNSツールを導入し、社員同士が円滑にコミュニケーションを図れるようにもしています。ストレスチェックについては今後、名古屋大学と連携して詳細な分析と分析結果の活用を検討していきます。

 また、昨年から、全社員向けに「健康メッセージ」を発信しています。例えば、夏は夏バテを防ぐ食事、冷房による冷え対策など、時宜に適ったテーマで発信しています。

山下さん ▶

 当社では半年に一度、経営戦略を説明する会議があり、そのときにチームでディスカッションするのですが、昨年から健康経営もテーマに入れています。その中で、毎週水曜日は早帰りを推奨しているので、その日にバドミントンをしようと決めたチームがあり、毎週実施しています。私も2回くらい参加させてもらいました。純粋に運動することが目的で、飲み会はないんです。こうした自主的な取り組みが広まることを期待しています。

 また、先日、ブライト500の認定を受けた企業に訪問させていただく機会がありました。他企業での取り組みも参考にさせていただきながら、ブライト500を目指していきたいと思っています。

中込さん ▶

 現在、健康宣言をしている事業所は5社です。サーラフィナンシャルサービスさんのような好事例を他社にも紹介して、全事業所が健康宣言できるような意識と体制づくりをしていきたいですね。健康経営優良法人の認定取得は目的ではありませんが、それを通して、加入者の健康への関心、意識が高まることを期待しています。

山下さん ▶

 若い人たちは自分は健康だと思っていますし、生活習慣病は自覚症状がないので、関心が低いということも課題だと思います。

中込さん ▶

 これまで健保組合は40歳以上のデータしか取り扱えませんでしたが、今年から全年齢のデータを分析できるので、若年層にも病気になる前の予防を啓発できるように、しっかり分析していきます。

 また、他の健保組合とのコンソーシアムで健康経営を広げていく活動にも参加していきたいと思っています。さらに、加入事業所は地域密着型の企業ですので、健康経営の取り組みから地域にも貢献できるような取り組みに発展していくことを願います。


サーラフィナンシャルサービス株式会社
総合企画部経営管理チーム
生駒 浩司 さん

生駒さん ▶

 以前、小学生の子ども向けにたばこの害に関するセミナーを実施したことがあります。今はなかなか人を集めてセミナーを実施することはできないので、やり方を考えていかなければいけませんが、そういった活動も地域密着企業ならではの役割かなと思っています。

山下さん ▶

 まだまだやれることはたくさんあると思います。

 当社のホームページで健康宣言や健康経営優良法人に認定されたことを掲載しているのですが、新入社員の中にはそれを見て応募してくれた人もいて、採用にも効果があることを実感しています。

 できることをどんどんやって、仲間を増やしていき、グループ全体に、地域に、健康経営を広げていければと思っています。

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