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健保ニュース 2026年2月下旬号

中医協 8年度診療報酬改定を答申
賃上げ・物価対応 基本診療料を引き上げ
急性期に新たな入院料創設

中央社会保険医療協議会(会長・小塩隆士一橋大経済研究所特任教授)は13日、令和8年度診療報酬改定案を了承し、上野厚生労働相に答申した。主要課題とされた賃上げ・物価対応に改定財源を重点投入し、外来、入院における基本診療料を引き上げる。また、新たな地域医療構想を視野に2040年頃を見据えた医療機能の分化・連携を進める観点から、救急搬送件数の実績など病院単位で急性期機能を重視する新たな入院料を創設する。厚労省は3月5日に新点数表を告示する予定で、6月から適用する。

8年度改定率は「本体」部分がプラス3.09%で、このうち賃上げ分に1.70%を充て、8、9年の各年度に3.2%のベースアップ(看護補助者、事務職員は5.7%)の実現を目指す。

また、1.70%のうち0.28%分を、賃上げ余力の回復・確保分とする特定的な対応として幅広い医療関係職種の賃上げに充てることとなっている。

物価対応分は0.76%で、このうち0.62%を8年度以降の物価上昇への対応に、0.14%を特例対応として物価高の影響を受けやすい高度機能医療を担う病院に充てる。

このほか、6年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分として0.44%を病院や診療所など施設類型ごとに配分する。

物価・賃上げ対応
初診料は実質増点

8年度改定では、再診料を1点引き上げて76点とする。入院料も引き上げる。
 初診料は291点に据え置くが、初・再診料や入院料など基本診療料に上乗せする「物価対応料」を新設。これにより初診料は実質増点となる。段階的な物価上昇に対応するため、9年度の物価対応料は8年度に設定する点数の倍とする。

物価対応料を外来と入院に分け、「外来・在宅物価対応料」については、8年度は初・再診時にそれぞれ1日あたり2点(9年度4点)、訪問診療時に3点(同6点)を上乗せする。

「入院物価対応料」は、新設する急性期病院A一般入院料を算定する病院は66点(同132点)、急性期一般入院料1の算定病院は58点(同116点)など、入院料に応じて異なる点数を加算する。

歯科は「歯科外来物価対応料」を初診時に3点(同6点)、再診時に1点(同2点)、調剤は「調剤物価対応料」を1点(同2点)それぞれ加点する。

賃上げ対応は、外来・在宅の場合、6年度改定で導入した外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の対象職種を40歳未満の勤務医や事務職員など「当該保険医療機関において勤務する職員」へと拡大した上で、初診時の点数を6月以降、11点引き上げて17点とする。再診時は2点引き上げて4点とする。9年6月からは点数を倍増する。

また、継続して賃上げを実施している医療機関とそれ以外の医療機関で異なる評価を設定する。

7年度以前から賃上げを実施している医療機関は、引き続き賃上げを実施できるよう初診時に6点を加点し、8年6月から改定後のベースアップ評価料と合わせて23点(17点+6点)を算定できる。再診時は6点(4点+2点)。

9年6月からはベースアップ評価料を倍増し、初診時40点(34点+6点)、再診時10点(8点+2点)とする。

8年度から新たに賃上げを行う医療機関は、6月以降、初診時に17点(9年6月から34点)、再診時に4点(同8点)を加点できる。

評価料(Ⅰ)を算定しても賃上げが不十分な場合に上乗せできる外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)は、現行1~8区分を6月から12区分まで拡大し、初診で最高64点(区分8)を96点(区分12)、再診で最高8点(同)を12点(同)とする。9年6月以降は24区分まで拡大する。

ベースアップ評価料(Ⅱ)についても継続的に賃上げを実施している医療機関と、それ以外の医療機関で異なる評価を設定する。

入院料における賃上げ対応は、6年度改定の入院ベースアップ評価料に相当する分と、賃上げ余力の回復・確保分に相当する分を入院料に統合し、増点する。

その上で、8年度の入院ベースアップ評価料については、1~165区分の評価を250区分まで拡大し、現行で最高165点(区分165)を250点(区分250)とする。9年6月以降は、入院ベースアップ評価料で得られる額が倍となるよう500区分まで拡大する。

一方、令和8年3月時点でベースアップ評価料を算定しないなど、賃上げをしていない医療機関は入院料を減算する。急性期一般入院料1の場合は所定の点数から121点を減算する。

新設の急性期病院A入院料
急性期一般1より高点数

急性期医療については、地域ごとの急性期の病院機能を確保する観点から、従前からの病棟単位の機能(重症度、医療・看護必要度や平均在院日数、在宅復帰率など)に加えて、病院単位の機能(救急搬送件数、全身麻酔手術件数)にも着目した新たな入院料として急性期病院一般入院基本料(急性期病院A一般入院料、急性期病院B一般入院料)を新設する。

このうち、急性期Aは看護配置7対1、急性期Bは10対1で、急性期Aは地域における拠点的な急性期病院、急性期Bは一般的な急性期病院が想定されている。

また、急性期Aは、地域包括医療病棟または地域包括ケア病棟入院料を届け出ていない医療機関を算定可能とし、ケアミックスに制限を設けて急性期機能をより評価する施設基準とする。急性期Bは地域包括医療病棟を届け出ていない医療機関とする。

急性期Aの実績要件は、救急用自動車または救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年2000件以上、かつ全身麻酔手術件数が年1200件以上とする。

急性期Bの実績要件は、▽救急用自動車または救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年1500件以上▽同500件以上、かつ全身麻酔手術件数が年500件以上▽人口20万人未満の2次医療圏で救急用自動車または救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が最大で、かつ年1000件以上──などのいずれかを満たすこととする。

急性期Aの評価は1930点で、急性期一般入院料1~6の中で最も点数の高い入院料1よりも56点高い。

急性期Bは1643点。ただ、急性期Bが看護職員、理学療法士、作業療法士など多職種25対1の配置を急性期Bの10対1に上乗せして合計7対1相当となると、新設される「看護・多職種協働加算」の同加算2(255点)が取得可能で、急性期一般入院料1よりも24点高い1898点を算定できる。

また、10対1の急性期一般入院料4(1597点)が多職種を配置し、合計7対1相当となると、看護・多職種協働加算1(277点)が取得でき、合計で1874点となり急性期一般入院料1と同じ点数となる。

なお、急性期一般入院料1は1874点(現行に比べ186点増)、急性期一般入院料2は1779点(同135点増)、急性期一般入院料3は1704点(同135点増)、急性期一般入院料4は1597点(同135点増)、急性期一般入院料5は1575点(同124点増)、急性期一般入院料6は1523点(同119点増)とする。

重症度、医療・看護必要度(看護必要度)は、手術なし症例や救急搬送症例を適切に評価する観点から、A項目(治療・処置)、C項目(手術等)への対象治療などを追加するとともに、看護必要度の基準該当割合に救急搬送受入件数に応じた加算を追加する。

急性期A・B、急性期一般入院料1などの該当患者の基準を割合①がA3点以上かC1点以上、割合②がA2点以上かC1点以上とし、看護師などが患者の状態を記録する方式の「必要度Ⅰ」の基準が割合①28%、割合②35%、診療実績データから変換する方式の「必要度Ⅱ」が割合①27%、②34%と設定する。

急性期一般入院料1の基準を必要度Ⅰ、Ⅱともに現行から7ポイント引き上げる。

急性期一般入院料2~5は、A2点以上かつB3点以上、A3点以上、C1点以上のいずれかに該当する患者を基準として、急性期一般入院料2が必要度Ⅰ28%、必要度Ⅱ27%、急性期一般入院料3が同24%、同23%、急性期一般入院料4が同20%、同19%、急性期一般入院料5が同15%、同14%と設定する。

急性期総合体制加算
急性期Aに重点配分

また、現行の急性期充実体制加算と総合入院体制加算を統合し、様々な診療科を有する総合性と、手術件数が多いなどの集積性を持つ拠点的な病院を評価する「急性期総合体制加算」を新設する。

同加算は1~5の5区分を設け、加算1~4は急性期Aの算定病院に限り取得可能とし、高度急性期を重点的に評価。加算5は急性期A・Bで取得可能とする。

加算1~4は、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料、療養病棟入院基本料を届け出ていない医療機関を対象とする。加算5は、人口20万人未満の2次医療圏で一定の総合性・集積性を有し、地域での拠点的な役割を担う病院に配慮した要件を設定する。

加算1の点数は、①7日以内の期間で1日530点②8日以上11日以内の期間で290点③12日以上14日以内の期間で210点、加算2は①470点②230点③150点、加算3は①440点②200点③120点、加算4は①360点②150点③90点、加算5は①300点②120点③60点──とする。

急性期総合体制加算の看護必要度の基準は、加算1の必要度Ⅰが割合①33%、割合②40%、必要度Ⅱが割合①32%、②39%などと加算区分に応じた設定とする。

地域包括医療病棟
入院形態などで評価

中等症の高齢者救急に対応する地域包括医療病棟は、期待される誤嚥性肺炎や尿路感染症の医療資源投入量などを踏まえ、入院形態や手術の実施状況に応じて異なる入院料を設定する。

また、包括期の病棟のみで診療する場合の救急入院の負担を考慮し、急性期病棟を併設していない入院料をさらに評価する。

現行単一の評価体系となっている地域包括医療病棟入院料(1日につき3050点)を1と2の2本立てとし、それぞれに入院料1~3の3区分を設ける。

地域包括医療病棟入院料1は、一般病棟入院基本料の算定病棟を有していない(急性期病棟を併設していない)ことを要件とし、地域包括医療病棟入院料2は急性期病棟との併設を認める。

その上で、入院料1~3は入院形態や手術の実施状況に応じて評価する。
 具体的に▽入院料1は、緊急入院で主傷病に対して手術しない▽入院料2は、緊急入院で主傷病に対して手術する、また予定入院で手術しない▽入院料3は、予定入院で主傷病に対して手術する──を算定要件とする。

地域包括医療病棟入院料1の入院料1は3367点、入院料2は3267点、入院料3は3177点。地域包括医療病棟入院料2の入院料1は3316点、入院料2は3216点、入院料3は3066点。

外科医療確保加算を創設
働き方改革、偏在対策

医師の働き方改革や診療科偏在対策については、消化器系外科医などを対象に、長時間かつ高難度な手術を実施した場合で、対象診療科の医師が当該手術を実施した場合に「外科医療確保特別加算」を評価し、当該手術の所定点数の15%を加算する。

医師に確実に手当されるよう、休日・時間外・深夜・当直手当などとは別に、当該加算額の30%以上に相当する額を当該診療科の医師に支給(その80%以上を常勤医に支給)していることとする。

同時に施設基準では、▽特定機能病院入院基本料か急性期総合体制加算を届け出ている▽長時間かつ高難度な手術を年200例以上実施している▽当該診療科の経験を5年以上有する常勤医を6人以上配置している▽地域医療体制確保加算2を届け出ており、外科医療確保特別加算を算定する診療科が対象となっている──などを定める。

地域医療確保加算を再編

医師の働き方改革や診療科偏在対策関連では、若手医師数が減少しており、医療提供体制の確保が必要な診療科について、勤務環境と処遇改善を行う観点から、地域医療体制確保加算を再編する。

現行の地域医療体制確保加算(入院初日620点)を同加算1とし、新たに同加算2(同720点)を設ける。

同加算2の施設基準では、若手医師数が減少傾向にある消化器外科、心臓血管外科、小児外科、循環器内科のうち、地域で医師確保が特に必要な診療科を3つ以内で特定し、特定した診療科(特定診療科)の医師と医療提供体制の確保に特別な配慮を行っていることと定める。

また、▽特定診療科の医師の給与体系に他の診療科とは異なる特別な配慮を行う▽交替勤務制を導入しており、常勤医が3人以上配置されている。夜勤を行った医師は翌日の日勤帯を休日とする──などとする。

初診料、外来診療料減算
逆紹介割合の基準引き上げ

外来医療の機能分化では、紹介患者、逆紹介患者の割合が低い大病院を紹介状なしで受診した患者にかかる初診料、外来診療料について、逆紹介割合の基準を引き上げる。

特定機能病院、地域医療支援病院(一般病床200床未満を除く)、紹介受診重点医療機関(同)において、現在は紹介割合が50%未満、逆紹介割合が30%未満だと初診料などが減算されるが、8年度改定でこの減算基準を見直し、逆紹介割合を50%未満に引き上げる。

許可病床400床以上(同)の逆紹介割合の基準は、現行20%を40%に引き上げる。

また、紹介患者、逆紹介患者の割合が低い特定機能病院などで外来診療料が減算となる対象患者について、直近1年以内に12回以上再診を行った患者を追加する。

病診間の連携推進では、診療所や200床未満の病院が特定機能病院などから紹介を受けた患者に初診を行った場合、新たに「特定機能病院等紹介患者受入加算」(60点)を算定できる。

一般名処方加算2点引き下げ

処方箋料の見直しでは、一般名処方加算(処方箋の交付1回につき加算)について、後発医薬品への置き換えが進展している状況を踏まえ、加算1を10点から8点、加算2を8点から6点にそれぞれ2点引き下げる。

一般名処方加算は、後発品のある全ての医薬品(2品目以上)が一般名処方されている場合に加算1が、1品目でも一般名処方されたものが含まれている場合は加算2が算定される。

後発品の使用促進のために設けられた加算だが、8年度からは、バイオ後続品のあるバイオ医薬品の一般名処方を行う場合も一般名処方加算の評価の対象とする。

生活習慣病管理料
充実管理加算を新設

生活習慣病管理料については、現行の外来データ提出加算(50点)に代えて、外来患者の診療内容データを継続的に提出する体制が整備されていることを前提に、「充実管理加算」を新設する。

生活習慣病に関連するガイドラインに沿った診療を高く評価する観点から、診療報酬の請求状況や治療管理の状況などの診療内容に関するデータを提出した医療機関のうち、質の高い生活習慣病管理の実績を有する医療機関を評価する。

充実管理加算は、脂質異常症、高血圧症、糖尿病それぞれに加算1~3の3区分を設け、いずれも加算1は30点、加算2は20点、加算3は10点とする。

加算1は、脂質異常症、高血圧症、糖尿病それぞれの管理について十分な実績を有する、加算Ⅱは相当な実績を有することを施設基準に定める。

同一建物への訪問看護
利用者多いほど報酬低減

同一建物の居住者への訪問看護については、利用者の人数が多くなるほど報酬を下げるなど人数に応じたきめ細かな評価に見直す。

訪問看護療養費(Ⅱ)などは、同一日の訪問人数を「2人」、「3人以上」に分けて現在評価しており、訪問人数の多い3人以上が低い報酬となっている。

看護師が訪問する場合、同一日3人以上で週3日目までは2780円、週4日目以降は3280円の報酬が支払われるが、現行の3人以上を「3人以上9人以下」とし、これ以降、「10人以上19人以下」、「20人以上49人以下」、「50人以上」と細分化した上で、人数が増えるほど報酬を低減する。

訪問看護療養費(Ⅱ)などを算定する場合の適切な訪問看護の時間は、30分以上を標準としているが、これを厳格化するため、20分を下回った場合は算定不可とする。

難病等複数回訪問加算、夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算についても、同一建物内の訪問人数を細分化し、利用人数が増えるほど報酬を低減する。

また、高齢者住まいなどに併設・隣接する訪問看護ステーションは、居住者に短時間で頻回の訪問看護を効率的に実施できることを踏まえ、包括で評価する「包括型訪問看護療養費」を新設する。

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