健保ニュース
健保ニュース 2026年2月下旬号
8年度改定 支払側が総括コメント
急性期集約化、包括期充実へ
13日の中医協総会では、令和8年度診療報酬改定の内容と附帯意見を最終確認し、支払、診療両側の了承を得た上で、小塩会長が上野厚生労働相に答申した。支払側は了承に際し、健保連の松本真人理事が代表して今回改定を総括した。
2040年頃を見据えた医療機能の分化・強化・連携を一層進めることが極めて重要とした上で、「新たな地域医療構想やかかりつけ医機能報告制度を念頭に置き、メリハリを強く意識して今回の議論に臨んだ」と振り返った。
入院医療では、「病院としての機能をより重視したことが最大の特徴」と指摘。具体的に▽高度急性期や急性期の入院料について、救急搬送受け入れや手術の実績に応じた評価体系に見直した▽急性期と包括期のケアミックスのあり方に一定の方向性が示された──として、「急性期機能の集約化や包括期機能の充実につながる」と前向きに評価した。
外来医療では、大病院とかかりつけ医機能を担う医療機関の役割分担や、救急外来への対応を一層進め、「患者に身近な地域の医療を強化すべき」と主張した。
また、生活習慣病の管理について、充実管理加算の新設を踏まえ、「データに基づく実績評価が導入されることは今後の試金石となる」と述べ、質の向上に期待した。
プラス改定の財源の大半を充当する賃上げと物価対応は、「医療現場における業務の効率化や生産性の向上も不可欠である」との認識を示した。
その上で、賃上げ対応については、幅広い職種がベースアップ評価料の対象となることで正確な実態把握が進むとし、医療機関経営者に確実な賃上げにつなげるよう求めた。
物価対応では、「物価上昇による経営悪化を乗り越えて、地域で求められる役割をしっかり果たすことを期待する」と述べた。
医療保険制度の持続可能性と医療の質を確保する観点からは、「薬剤の適正使用が重要」と強調し、後発医薬品に加えてバイオ後続品の積極的な使用やポリファーマシー対策の着実な成果を求めた。
医療DXでは、「マイナ保険証の利用促進を中心とした評価から、電子処方箋や電子カルテに着目した新たな評価体系に見直すことになる」とし、患者がメリットを実感できるよう質の高い効率的な医療の実現などに期待した。
今後の課題に向けては、賃上げや物価対応、入院・外来・在宅を通じた医療提供体制全体の最適化、医療DXやICT連携による効率化、AIを活用した医療従事者の負担軽減など、8年度改定の影響を検証し、「エビデンスに基づいた不断の見直しが求められる」と指摘。特に賃上げと物価対応は、昨年末の大臣折衝で合意した「必要な足元の情報を正確に把握する」ための調査実施を重視した。
診療側は、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)が代表して見解を述べた。
今回改定は、急激な物価・人件費上昇を背景に医療機関などの経営状況がひっ迫し、「閉院や倒産が過去最多のペースとなるなど、かつてない異常事態での対応だった」と振り返った。
診療報酬について、「国民に質の高い医療を提供する極めて重要な役割を担っている」とし、「今回の改定を糧として一層質の高い医療を提供していく」との考えを示した。
画期的な改定
上野厚労相
上野厚労相は答申書を受け取った後、8年度改定の所感を述べた。
今回改定に向けては、物価・賃金の上昇局面と併せて、人口減少、少子高齢化が進む中、「地域で必要な医療を確保し、質の高い医療を引き続き提供するための取り組みも求められる。そうした例年にない難しい課題があった」との認識を示した。
その上で、物価対応、幅広い医療関係職種への賃上げに向けた評価、急性期医療やかかりつけ医機能を担う医療機関への評価、多職種連携、医療DXの評価、実態を踏まえた適正化・効率化などが答申に盛り込まれたとして、「画期的な改定だと受け止めている」と述べた。
答申を基に速やかに改定に関する告示や通知の整備を行い、6月施行の準備を進めていくとした。
また、今回改定による影響の検証や残された課題の対応など、附帯意見に盛り込まれた事項を真摯に受け止め対応していく意向を示した。
新たな改革盛り込まれた
小塩会長
小塩会長は、賃上げや物価対応、医療機関などの経営悪化への対応を中医協委員が共有したことから、「改定議論も比較的スムーズに収束に向かった」と指摘。
今回改定の特徴として、急性期病院一般入院基本料の新設などを例に、「少子高齢化の進行の中で、より効率的な医療提供体制の構築に向けた新たな改革も答申に盛り込まれた」と述べた。
今後は、今回改定が期待通りの成果を上げるのか丁寧に検証作業を進め、エビデンスに基づいて次回改定に向けて作業を進めていく必要があると発言した。
さらに、高市首相が設置を表明している「国民会議」の動向に注目。消費税対応や給付付き税額控除の制度設計に加え、社会保障全体のあり方も議論する方向になると見据え、「将来にわたって安定的に維持できる医療体制の維持が重要だと思っているので、政府全体としてぜひ検討を進めてほしい」と厚労省に要請した。