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健保ニュース 2026年2月下旬号

地域フォーミュラリ推進の取り組み
第4期医療費適正化計画に反映
8年度中 都道府県に協議体を設置

社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国昭東京大大学院教授)は12日、地域フォーミュラリのさらなる推進に向けた都道府県と国の取り組みを、第4期医療費適正化計画に盛り込むことを了承した。令和8年度中に、各都道府県での地域フォーミュラリ策定に向けた協議体の設置を目指す。

地域フォーミュラリは有効性や安全性に加え、経済性なども含めた総合的な観点から最適と判断された医薬品を収載した、地域における推奨薬リストとその使用方針を指す。良質な薬物療法の提供を目的に、最新の科学的なエビデンスに基づき、地域の医師や薬剤師などの医療従事者とその関係団体が協議して策定、運用する。

患者にとっては、安全で効果的な治療を受けられることや、薬剤費の自己負担軽減などのメリットがある。一方、医師や薬剤師は、治療方針の均一化や、処方の標準化による調剤業務の負担軽減に加え、緊急対応が行いやすくなるなどといった利点がある。保険者も、後発医薬品が推奨されることで、薬剤費の削減が期待できる。

早期に地域フォーミュラリを導入した山形県酒田市では、6年度のアンテジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB・高血圧症の治療薬)の利用が推奨薬に集中しており、緩やかにではあるが、地域全体で治療方針が均一化されていることがうかがえる。

また、ARBの薬剤費は地域フォーミュラリ導入前に比べ2億円弱下がっており、全国的な後発医薬品の使用促進の効果もあるものの、医療費の削減にもつながっている。

こうしたメリットや実績がある一方、厚生労働省が7年に実施した実態調査では、地域フォーミュラリの策定件数は全国で18件(12都道府県)にとどまっている。

そのため、厚労省は地域フォーミュラリの推進に向け、▽医療関係者との合意形成の促進▽会議運営▽好事例の展開や周知による理解促進▽生活習慣病治療薬などの後発医薬品の成分別使用割合データなどの活用──を第4期医療費適正化計画の「都道府県が取り組むべき施策」に追記すると提案した。

国の取り組みとしては、▽会議運営の支援▽都道府県へのデータ提供▽参考となる薬効群の成分リスト作成、公表▽保険者の参画を促すインセンティブの設定──などを盛り込むとした。

都道府県単位の協議体は、各都道府県の医師会や歯科医師会、薬剤師会に加え、行政、保険者、学識者などで構成し、策定可能な地域の検討や候補になった地域との合意に向けた調整などを行う。既存の会議体の活用も視野に、8年度中の各都道府県での設置を目指す。

候補地域では地区の医師会などのほか、中核病院の医療関係者も参画し、対象医薬品の選定や地域フォーミュラリの策定、運用を担う。

健保連の佐野雅宏会長代理は、地域フォーミュラリの導入による薬剤費の適正化や医療の標準化と質の向上などのメリットを期待し、「地域の取り組みが速やかに広がるよう、都道府県の積極的な関与と国の十分な支援をお願いしたい」と述べた。

城守国斗委員(日本医師会常任理事)は策定にあたり、都道府県と候補地域での十分な検討と関係者の合意形成の上での実施が不可欠だと強調し、都道府県などに対し「効果が得られた取り組みを一つずつ積み重ねることが重要だと認識して進めてほしい」と注文した。

渡邊大記委員(日本薬剤師会副会長)は「そもそも、地域フォーミュラリは、処方される薬剤の在庫を地域の薬局でしっかり持ち、災害や時間外などの緊急時でも円滑に患者に薬物療法を提供できるようにするための医薬品リストだ」と指摘。各都道府県での協議で、単に経済性を勘案するだけでなく、本質に即した議論が行われるよう、国の支援を求めた。

袖井孝子委員(高齢社会をよくする女性の会理事)は、地域フォーミュラリが「低価値・無価値医療の対策にも資するのではないか」と述べ、さらなる推進を求めた。また、「フォーミュラリ」という名称のわかりにくさを指摘し、名称変更の必要性にも言及した。

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