健保ニュース
健保ニュース 2026年4月中旬号
国民会議 有識者
給付付き控除 政策課題や目的を議論
「純負担率」国際比較
「社会保障国民会議」の有識者会議(座長・清家篤日本赤十字社社長、慶應義塾学事顧問)は2日、会議を開き、給付付き税額控除について、受益と負担の全体像や政策課題、目的などを議論した。
この日の会議では、初会合での構成員の意見を踏まえ、事務局が給付付き税額控除導入に向けた論点として、①受益と負担の全体像と、その分析を踏まえた政策課題②政策課題を踏まえた制度設計の論点③執行のあり方──を挙げた。
また、①に関連して、社会保障や税の負担から給付を控除し、世帯収入で除して算出する「純負担率」について、世帯構成別の国際比較などの分析結果を示した。
分析は米、英、独、仏の4か国を比較対象に、負担を社会保険料と税、給付を現金給付と設定し分析した。世帯構成は、35歳の夫婦と5歳、2歳の子の共働き世帯と、25歳の単身世帯と仮定した。
共働き世帯では、世帯収入が低いと日本の純負担率は4か国の平均より高く、世帯収入が高いと、純負担率は低くなる傾向がみられた。
単身世帯では、おおむね4か国より純負担率が低いものの、住民税の課税対象になる200万円強の世帯年収では高かった。
世帯構成の違いと世帯収入の多寡にかかわらず、純負担率を大きく押し上げているのは社会保険料で、消費税も一定の割合を占めている。
日本の純負担率について、現物給付を加味すると、共働き世帯では子どもに関する給付が純負担率を押し下げていた。
75歳以上の年金を受給している高齢者の世帯は、社会保険料や税の負担が低い一方、年金給付により受益が負担を上回った。
構成員からは、「個別の制度にはそれぞれ合理性があるが、全体としてみると純負担率の改善が必要だ」「現下の政策課題を全て給付付き税額控除で解決できるわけではない。税と社会保障の各制度の必要な見直しは別途続けるべき」「受益と負担はライフサイクル全体で考える視点も必要ではないか」といった意見があったという。
②に関しては、「年収の壁を越えた直後や生活保護から労働市場に移行する所得階層で、純負担率のギャップが生じているので、就業意欲を削がない制度にすべき」「子育て支援の観点を考慮するとともに、子どもの有無にかかわらず低所得者の社会保険料負担が重いことも踏まえ、単身者も対象にすべき」など、就労促進や子育て支援を主張する意見が目立った。
③については、「所得の捕捉について、マイナンバー制度の活用やDXを進めるべき」「実施主体の事務負担や行政サービスに影響が出ないよう配慮が必要。既存のインフラの活用を検討すべき」などの意見があった。