健保ニュース
健保ニュース 2026年5月下旬号
70歳以上の医療費
財務省 原則3割負担を提言
実現に向け工程表作成を
財務省は4月28日の財政制度等審議会の財政制度分科会で、70歳以上の医療費の自己負担について、できるだけ速やかに現役世代と同じ原則3割に引き上げるよう求め、実現に向けた制度改革の工程表を作成すべきだと提言した。
70歳以上の自己負担割合は1割または2割負担の人が9割超を占め、3割負担となる現役並み所得者は、70~74歳が約11%、75歳以上が約7%にとどまる。財務省はこうした現状を踏まえ、「『給付は高齢者中心、負担は現役世代中心』という構造の象徴」と指摘した上で、原則3割負担化の狙いを「年齢による自己負担割合の不公平を是正し、現役世代の保険料負担を軽減するため」と説いた。
優先的に取り組む課題として、70~74歳について、高齢者の就業率の上昇や受診率の低下といった実態に照らして「もはや一律に高齢者扱いすべきでない」と断じ、原則3割負担とするとともに、70歳以上の外来受診の負担額を軽減する高額療養費制度の「外来特例」を廃止すべきだとも訴えた。
75歳以上については、経過措置を設けたとしても、「現行の(負担割合の)線引きをゼロベースで見直すべきだ」とした。
また、75歳以上の現役並み所得者の医療給付費には公費負担がないため、制度改革で3割負担者が増えると、かえって現役世代の負担が重くなることについて言及。「改革全体を通じて安定財源を確保し、現役世代の保険料負担が確実に軽減される制度設計とすべき」と付け加えた。
財務省はこれまでも現役並み所得の判定基準の見直しは提起してきたが、今回は公費が投入されない現行制度の建て付けにまで踏み込み、現役世代の負担増に釘を刺した。
「被扶養者」見直し初提言
社保の個人単位化を志向
財務省は被用者保険における被扶養者制度の見直しを初めて提言した。「核家族化や共働き世代の増加も背景に、社会保険制度の個人単位化が求められる」とし、国民年金の第3号被保険者制度だけでなく、「医療保険の『被扶養者』のあり方も見直しを検討すべき」と唱えた。
具体的な見直し案は示されていないが、与党の社会保障改革協議でも、第3号被保険者制度の対象者を縮小する方向で一致しており、こうした動きに歩調を合わせたとみられる。
保険料負担の不公平さなど
保険者分立のデメリットを指摘
財務省は国民皆保険について、「同程度の負担能力でも保険料負担が異なる不公平さや、個々の保険者が小規模であるがゆえの非効率性」があるとの見方を示し、「保険者が分立していることによるデメリットを解消し、働き方に中立で包摂性の高い国民皆保険の実現を不断に追求していくべき」と指摘した。
デメリットには▽公平性=同程度の負担能力で同様の医療を受けても、帰属先によって保険料や自己負担額が異なる▽効率性=保険事務やシステム整備などが重複。保険者間の異動での手続きが煩雑▽持続性=小規模保険者では高額医療などのリスク分散が困難。データ分析に基づく医療提供の効率化の取り組みが不十分──を挙げている。
また、「医療保険者が保険者機能を十分に発揮できていないことも問題」との主張を展開し、「被保険者に対する医療提供の効率化と医療の質・アクセスの向上を図る責務がある」とした。