HOME > 健康コラム > ほっとひと息、こころにビタミン バックナンバー > ほっとひと息、こころにビタミン vol.99

健康コラム

ほっとひと息、こころにビタミン vol.99

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

こころを軽くすることばの入れ替え

6月は新入社員の皆さんが入社して2カ月、そろそろ仕事内容や職場で一緒に働く仲間にも慣れた頃でしょう。毎日1日の大半を過ごす職場。「思っていた仕事ではなかった」「職場の人や上司とそりが合わない」などネガティブな気持ちが徐々に芽生え、「会社を辞めたい」と極端な行動をとりたいという考えが、頭の片隅をよぎるかもしれません。

入社前に憧れていた会社でも、現実は想像と違うかもしれません。ただ、不満な気持ちが強くなってくると、自然に良くない面が目に入るようになるので注意が必要です。その結果、ますます良くない面に目が向いて、不満が強くなってくるという悪循環に陥(おちい)ってきます。

そのようなとき、会社を辞めるなどの極端な行動に移る前に少し時間をとって、視野を広げる工夫をしてみてください。「自分が入りたかった会社、でも仕事がつまらない」「自分がやりたかった仕事、でも上司が気に入らない」という考えの前後を入れ替えてみても良いかもしれません。さらに、「今の」という言葉を入れてみるのも良いでしょう。

「今の仕事はつまらない、でも自分が入りたかった会社」「今の上司が気に入らない、でも自分がやりたかった仕事」といった具合です。文章の前後を入れ替えるだけで、良くない面ばかりに目が向いていたこころの状態から少し解放されます。さらに、「今の」という言葉を入れると時間とともにこころが変化してくるという意識が生まれてきます。仕事のことに限らず、このようにして気持ちを落ち着けた上で今後のことを考えてみると、新しい視点が生まれやすくなります。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる!うつの人が見ている世界』(池田書店)など。

バックナンバー

HOME > 健康コラム > ほっとひと息、こころにビタミン バックナンバー > ほっとひと息、こころにビタミン vol.99