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健保ニュース

健保ニュース 2026年5月下旬号

8年度療養費改定率はプラス0.6%
柔整償還払いに「部位転がし」追加
変更手続きを迅速化

厚生労働省は4月30日、柔道整復療養費、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費の令和8年度改定率をいずれもプラス0.6%とすることを社会保障審議会医療保険部会の療養費検討専門委員会に報告した。柔道整復療養費検討専門委員会(座長・安川文朗京都女子大教授)とあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会(同)は、改定率に基づく料金改定を大筋了承した。

療養費の改定率は、医科診療報酬改定率の半分の水準に設定するのが慣例。今回改定率は医科改定率プラス0.28%の半分の0.14%に、物価上昇への対応として医科診療所への対応分と同じ0.46%を上乗せした。

柔整療養費の改定は今年7月1日から施行する。あはきは年内の改定を予定するが、施行時期を未定とした。

柔整療養費の8年度改定は、患者ごと償還払いに変更できる事例に、負傷と治癒を繰り返す、いわゆる「部位転がし」が疑われる患者を新たに追加することとした。

新設される部位転がしの事例は、「異なる負傷の同時または継続的な発生により、結果として施術期間が長く、施術部位が多い患者」とする予定で、具体的には、「直近1年間に通算8か月以上かつ通算9部位以上の施術を受けている患者」を対象とする。

保険者から煩雑さが指摘される償還払いへの変更手続きについては、迅速に行えるよう規定を整理する。

また、自己施術と自家施術は、療養費の支給対象外とすることを明確にする。これに伴い、患者ごと償還払いに変更できる現行の事例から、自己施術と自家施術を除外する。

8年度の料金改定は、初検料を10円引き上げ、1回あたり1560円とする。施術料金が別途算定できることを踏まえ、施術継続中である場合や、施術の終了か中止後3か月が経過していない場合は、初検料を算定不可とする。

一方、施術の終了か中止後1か月以上3か月以内に行われた施術については、再検料を算定できることとする。

再検料は10円引き上げ、1回あたり420円とする。

施療料(打撲、捻挫への初回施術)は10円引き上げ、1回あたり770円に改定。後療料(打撲、捻挫)は45円引き上げ、1回あたり550円とするとともに、現行の3部位目の60%逓減に加え、2部位目の施術について80%逓減を新設する。

明細書発行に係る評価は、現行の明細書発行体制加算(月1回10円)の名称を「明細書発行加算」に見直した上で、明細書を発行するたびに1回あたり10円を加算できるよう改める。

患者の求めにより1か月単位でまとめて明細書を交付することができる現行の取り扱いは、改定後も引き続き認めることとした。

また、明細書の様式を一部変更し、負傷名か負傷部位を記載する欄を設ける。

温罨法料は5円引き上げる一方、冷罨法料は5円引き下げ、料金をともに1回あたり80円に統一する。電療料は13円引き上げ、1回あたり46円とする。

健保連の幸野庄司参与は、今回改定について、「診療報酬改定に影響されて、料金の大幅な引き上げとなったが、不正対策にも目配せした対応がとられている」と一定程度評価した。

その上で、部位転がしが不正請求の最大の要因と指摘し、次回改定に向け、部位転がしを抑制するために料金に逓減制を導入するなど、制度的な対応を検討する必要があると強調した。

償還払いへの変更は、現在、個人単位で認められているが、「保険者単位による変更を望む健保組合は非常に多い。保険者単位の変更は捨てていない」と述べ、保険者単位の実現に向け、今後も議論に臨む姿勢を示した。

あはき 月16回以降施術に逓減制
訪問施術に集中率減算を導入

あはき療養費の改定は、適正化対策の一環として、月16回以降の施術(マッサージ、訪問施術料、温罨法料、変形徒手矯正術)に係る料金に逓減制を導入し、所定料金の半額に減算することとした。

訪問施術については、訪問人数に応じ料金体系を細分化し、訪問施術料4(同一日・同一建物で施術を行った患者数が10人以上)、同5(同20人以上)を新設する。

訪問施術料4・5を算定する施術所の訪問施術のうち、特定の施設が9割以上を占めている場合、集中率減算として、当該施術所の料金を所定の8割で算定する。

また、保険者が訪問施術料4・5の算定施術所の訪問施術の状況を確認できるようにする。確認方法など詳細は今後詰める。

6年度改定で導入した訪問施術制度は、営利目的で同一建物に患者を囲い込むなど不適切な事例が問題視され、不正対策が主要論点となっていた。

こうした観点から、今回改定の対応として、経済上の利益提供を伴う施術や、施術所と訪問先の施設が特別の関係にある場合の施術を療養費の支給対象外とする。

健保連の幸野庄司参与は、施術者側が委員会に示した訪問施術の不適切な事案を「氷山の一角だ」と指摘。不正防止に向けて、施術内容がわかる訪問施術の内訳表を新たに作成し、支給申請書に添付するよう要求したが、「一切受け入れられなかった」と憤った。

このほか、今回改定では、明細書発行加算を新設し、施術内容がわかる明細書を無償で発行した場合に10円の算定を認める。

マッサージについては、1局所につき20円引き上げる。はり・きゅうの初検料は、1術50円、2術90円それぞれ引き上げる。

料金改定の施行時期は未定だが、新設される月16回以降の逓減や訪問施術料4・5を算定する場合の取り扱いと、その他の事項に分けて段階的に実施する。

同意書のあり方
引き続きの検討課題
幸野参与「大きな課題残した」

また、医師の同意書のあり方については、「支給基準の議論と併せて検討する必要がある」とし、引き続きの検討課題とされた。

これまでの議論で幸野参与は、同意書の交付にあたっては、支給基準の妥当性を保険者が判断するため、医師が同意に至った医学的所見を記載するよう強く要望。施術者側は同意書の見直しに反対し平行線をたどった。

幸野参与は、今回改定について「総論は賛成するが、各論では大きな課題が残った」と総括した。

その一つに同意書のあり方を挙げ、「保険者が納得して支給決定するには、医師の医学的所見が重要な要素となる。同意書の様式に所見欄を設けることによって、患者照会と医師照会が減る。所見欄を設けた同意書案を独自に作成し、この委員会に提示したが、まったく受け入れられなかったことは非常に残念だ」と憤慨した。

特にはり・きゅうについて、「6疾病(神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症)であって同意書があれば自動的に支給対象となると解釈する施術者側の主張は、大きな間違いだ。同意書に医学的所見を入れないのであれば、健保組合は患者照会と医師照会で徹底的に調べるしかない」と述べた。

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