健保ニュース
健保ニュース 2026年7月上旬号
健保連が調査研究結果を発表
加齢黄斑変性の外来治療に包括評価
バイオ後続品の使用促進にも期待
健保連は6月22日、「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究Ⅶ」の報告書の概要を発表した。バイオ医薬品を用いた加齢黄斑変性の外来治療について、「1か月単位等でバイオ医薬品等の包括評価を設定し得る可能性が示唆された」との結果を示し、実装された場合には、「バイオ後続品の使用促進が期待される」とした。
健保連は平成24年から約2年ごとに、レセプト分析の結果を発表している。今回は7回目で、今後の政策提案に資する基礎的知見を整理するため、外部の有識者から技術的な視点での助言を得ながら、NDBデータや健保組合のレセプトデータなどを分析した。健保連のレセプト分析でNDBデータを使用するのは初めて。
今回の調査研究のテーマは、①外来医療におけるばらつきの分析②医療機関の機能に応じた医療費の分配に関する分析③死亡者にかかる死亡前の診療行為の分析──の3つ。
①は、医療の質と医師の裁量を担保することを前提に、外来で実施される専門的な医療の包括評価を進めるため、外来医療で既に治療内容の標準化が一定程度進んでいると考えられる疾患、病態、治療法について、NDBデータを用いて医療費や診療行為のばらつきの実態を分析した。
眼科用抗VEGF薬(加齢黄斑変性などに用いるバイオ医薬品)の投与を伴う眼疾患の分析では、投与回数がおおむね年4回まで、受診回数がおおむね月3回までに収まっており、投与日からの経過日数ごとの累積医療費のばらつきが小さかった。
診療行為と医療費のばらつきが少ないことから、薬剤料などの包括評価により、外来医療の標準化を推進できる可能性が示唆された。治療内容が標準化されれば、医療費の適正化も期待できる。
加えて、バイオ医薬品を使用する疾患を包括評価にすることで、より安価なバイオ後続品の使用促進につながる可能性があるとした。
一方、閉鎖性単純前腕骨折では、治療開始から一定期間は累積医療費のばらつきが小さいが、日数が経過するとばらつきが大きくなり、検査や処置などの包括評価には期間を区切るなどの工夫が必要だとみられる。
また、変形性股関節症の人工関節置換術の術後は、外来治療を開始した当初から医療費のばらつきが大きく、検査や画像診断などの包括評価は難しいことがうかがえる。
医療機関機能の加算
診療報酬と別の仕組みで分配
②は、医療機関の体制や機能を評価する加算について、地域の人口構造が変化し外来患者が減る中で維持できるか、また、患者個人へのサービスとの結びつきが乏しく、患者の理解を得にくいと考えられるといった問題意識の下、現行の診療報酬とは別の仕組みで分配する方法を検討した。
健保組合の令和3年時点のレセプトデータを用い、機能強化加算や時間外対応加算1~3など、当時の外来医療や在宅医療の体制や機能を評価する加算の算定総額を、各医療機関に可能な限り正確に分配する指標を探った。
その結果、実患者数や加算の届出月数などを考慮した指標で各医療機関の評価をスコア化し、スコアに応じて加算総額を分配したところ、多くの医療機関に加算とおおむね同額を分配することができた。延べ患者数でなく実患者数を考慮することで、頻回受診の抑制も期待できる。
終末期医療の実態把握へ
死亡前の診療行為を分析
③は、終末期医療の実態を正しく把握するため、蘇生術や人工呼吸に関連する項目の算定割合など12の指標を選定し、NDBデータを用いて死亡前1週間の診療行為の実施状況などを調べた。
蘇生術のオッズ比(特定の事象に関する発生割合の対照集団との比率。1を超えると、対照集団より当該事象が起こりやすい)を年齢階級別にみると、59歳以下が特に高く、高齢になると下がる傾向がある。疾患別では、心疾患(高血圧性を除く)が高い一方、がんや肺炎、認知症などで低かった。