健保ニュース
健保ニュース 2026年7月中旬号
介護保険 第10期計画
厚労省部会 基本指針案を了承
地域の実情踏まえて策定
社会保障審議会介護保険部会(部会長・野口晴子早稲田大教授)は6月29日、市町村と都道府県が策定する第10期介護保険事業(支援)計画(2027~29年度)の基本指針案を議論し、部会長一任で了承した。10期では中山間・人口減少地域など、地域の類型を踏まえた策定を求める。同部会が昨年末にまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」を踏まえて整理しており、大きな異論はなかった。
基本指針は介護保険法に基づいて国が策定し、自治体に提示する。3年を1期とする両計画のベースとなるもので、市町村などが「介護サービス量を見込む際に参考とする考え方や算定方法の標準」が記載されている。厚労省は3月の前回会合での議論を踏まえ、今夏に見直し案を自治体に示し、年末に新たな指針を告示する予定としていた。
厚労省は基本指針の見直しにあたり、2040年にかけて地域の介護サービス需要が変化する中、10期計画から都道府県が積極的に関与しながら、中長期のサービス見込み量を見据えて策定することを重視した。「中山間・人口減少地域対応」や「医療・介護連携」などについて、9期までの取り組みを前提に、10期計画における位置づけを明確化し、取り組むことが必要だとした。
こうした基本的な考え方に基づき、10期計画で記載を充実する事項について、①介護サービス基盤の計画的な整備②地域包括ケアシステムの深化③介護人材確保と職場環境整備に向けた生産性向上、経営改善支援など──の3つを柱に提案した。
このうち、①では、地域の実情に応じたサービス提供体制を構築するため、地域類型(中山間・人口減少地域、大都市部、一般市など)を念頭に置いた計画策定の重要性や、新たな類型を含む特例介護サービスの活用など、中山間・人口減少地域における提供体制の確保に必要な対応の推進といった事項を盛り込んだ。
全体の構成も見直し、例えば、現行の「サービス提供体制の確保および事業実施に関する基本的事項」に並ぶ16項目は、「基本理念・地域包括ケアの推進、共通して取り組むべき事項」と「計画作成の基本的考え方、作成手順、計画の進捗管理」の二つに再編する。
また、現行の基本方針では、計画策定の際に確認すべき指標は掲げられていないが、自治体と地域の関係者が課題認識を共有できるよう、同指針に新たな別表を設け、「確認すべき指標・状況」を一覧として示すことを提起した。指標・状況は前回の部会で示されたものから大きな変更はなかったが、委員の指摘事項などが追加された。
健保連の伊藤悦郎常務理事は、「これまでの意見がおおむね反映されており、異論はない」と述べた。一方で、制度の持続性を確保するための負担のあり方が課題だと指摘し、6月19日に成立した改正社会福祉法の附帯決議に明記された「公費負担のあり方」や「給付と負担の構造」について確実な検討の実施を求めた。
津下一代委員(日本栄養大教授)は、中山間・人口減少地域に着目しているが、今後は大都市などでも急速に高齢化が進むと懸念を示した。その上で制度や事業計画は最新のデータなどで状況を把握し、柔軟に見直していくべきと主張した。
山際淳委員(民間介護事業推進委員会代表委員)は、前回の議論で出された意見を踏まえ、内容が拡充されたと評価した。記載項目の充実に伴い、市町村側の負担が増大するため、国、都道府県からの支援強化が必要だと訴えた。