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健保ニュース 2026年7月下旬号

自維 社保改革の具体的骨子を合意
公平な応能負担実現へ見直し
「原則3割」見送りも年内に工程表

自民党と日本維新の会は7日、昨年10月の連立政権合意書に基づき、13項目からなる社会保障改革の骨子を合意した。最大の焦点となった70歳以上の高齢者の医療費窓口負担について、「原則3割となっている現役世代との間で年齢によらない真に公平な応能負担を実現する観点から見直しを行う」と記し、令和8年末までに改革工程表を策定するとした。維新が主張した原則3割への引き上げは、自民が慎重な姿勢を続けたことから見送った。骨子は政府が7月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に反映させる。自民の田村憲久元厚生労働相と維新の梅村聡税制調査会長らが、国会内で合意文書に署名した。

骨子では、▽70歳以上の外来受診の負担額を軽減する高額療養費制度の「外来特例」のあり方▽負担割合の区切りとなる所得基準の見直し▽年齢区分の引き上げ──など抜本的な見直しを検討し、年内に「一定の結論を得る」とした。来年の通常国会への法案提出を視野に入れる。見直しにあたっては、家計への影響などを踏まえ、「必要な受診が確保されるよう適切な配慮措置」を講じるとした。

高齢者の医療費窓口負担は、「現役世代との間で年齢によらない真に公平な応能負担を実現する観点から見直す」との方針で一致した。

維新は現役世代の負担軽減に向け、原則3割への引き上げを強く主張したが、最終的に明文化を見送った。高齢者の負担増を懸念して慎重姿勢を崩さない自民に譲歩した格好だが、今後の具体化に向けた議論で再燃する余地を残している。

また、窓口負担が3割となる75歳以上の現役並み所得者の医療給付費には公費負担がなく、現行の仕組みのまま3割負担の対象を拡大すると、かえって現役世代の負担が重くなる問題に着目し、「現役世代の負担軽減の観点からの公費負担のあり方」も検討課題として盛り込んだ。

公費負担のあり方
「骨太」反映で議論の俎上に

維新の梅村氏は5月に成立した改正健康保険法の国会審議でも公費負担のあり方を問題提起し、政府に対して検討するよう訴えていた。自民の「国民皆保険を守る国会議員連盟」が6月に厚生労働、財務両相に提出した要望書の中でも、「50%の公費負担を導入する」よう求めている。

こうした課題も骨太の方針に反映されることで、正式に議論の俎上に上がることになる。健保連は、仮に現行の3割負担の高齢者の医療給付費に50%の公費を投入した場合、約5800億円(8年度予算ベース)の公費財源が必要になると試算している。

一方、連立合意書では13項目の社会保障改革全体について「8年度中」に具体的な制度設計を行うとしたが、維新は関連法案の来年の通常国会への提出も視野に入れており、工程表の策定と一定の結論を出す期限を「8年末」に前倒しすることで折り合った。

田村氏は合意後、記者団に「高齢者は低所得者が多いため、(医療費窓口負担の見直しは)必要な受診が確保されるよう適切に配慮することを前提としている」と強調した。

梅村氏は「高齢者は病気が多く、可処分所得も少ない中で(負担を)どこまで求めていけるのか。まず第一歩を踏み出そうという合意になった」と語った。公費負担の検討の明記については、「いきなり満額は難しいが、 公費負担をある程度保障して現役世代の保険料をしっかりセーブしていきたい。この言葉が(骨子に)載ったことは非常に重いことだ」と述べた。

自民と維新は昨年11月、連立政権合意書に基づく社会保障制度改革に関する実務者協議を開始。両党は13項目に先行し、昨年末にOTC類似薬の保険給付の見直し、窓口負担や保険料算定への金融所得の反映などで合意した。13項目の骨子は7年度内に合意する予定だったが、2月の衆院選の影響で協議が中断するなどし、大幅にずれ込んだ。

保険料引き下げに向け
「社会保障負担率」を抑制

骨子では、保険財政健全化策として、現役世代の保険料の引き下げを狙いに、9年度の「社会保障負担率」(国民所得に占める保険料の割合)が7年度と比べて上昇しないよう取り組むと記した。あわせて、社会保障負担率の目標を検討する。負担率の目標の検討は骨太の方針の原案にも盛り込まれており、政府・与党が一体となって改革に取り組む姿勢を示した。

維新が唱えた医療給付費の伸びを名目GDPの成長率の範囲に抑える仕組みの導入は、明記を見送った。

医療介護の保険者の権限・機能の強化に向けては、国民健康保険における都道府県内の保険料水準の完全統一と市町村の事務負担の軽減、後期高齢者医療制度の運営主体のあり方などの保険者の再編統合を検討するとした。国保などの地域保険を対象としており、「健保組合は射程に入っていない」(田村氏)としている。

3号被保険者の縮小
年度内に課題を整理

国民年金の第3号被保険者制度の見直しを巡っては、対象者の縮小に向け、マルチワーカーへの対応などを含む短時間労働者への被用者保険の適用拡大を進めるとともに、同制度の実態調査を実施し、8年度中に課題を整理するとした。今夏をめどに検討会を立ち上げる。

同制度は、サラリーマン(第2号被保険者)に扶養されている配偶者(年収130万円未満)が第3号被保険者となり、保険料を納付しなくても基礎年金を受給できる仕組み。昨年6月に成立した年金改革法の附則では、「第3号被保険者の実情に関する調査研究を行い、そのあり方について検討を行う」とされていた。

骨子ではこのほか、▽「高齢者」の定義見直しについて、各制度の高齢者の年齢区分を総点検し、必要に応じて引き上げを検討▽高度化・高額化する医療へのアクセスを確保するため、公的保険と民間保険の役割分担を検討▽中央社会保険医療協議会の機能について、委員構成を含めた見直しを検討──することなどを記載した。

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