健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.174

介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
母親が父親の退院を拒否…
2世代3世代同居が減る中、子どもが独立した後は、両親が2人で暮らすケースが一般的となっています。どちらかに介護が必要になると、もう一方の親は必然的に主たる介護者に。ただ、元気とはいえ、年齢的に体力的な低下は否めません。
Tさん(男性50代)の実家では80代の両親が2人暮らし。骨折をして入院していた父親の退院が迫っており、父親は「もうすぐ、帰れる!」と喜んでいます。ところが、母親はTさんに「お父さんを自宅に戻す自信がない」と訴えます。両親の意向が異なると、子としては悩みますが、「自信がない」と言葉にしてくれるだけ良いのかもしれません。一人で抱え込むと、共倒れしかねないからです。
父親が十分に回復していないようなら、もう少しリハビリをしてから家に戻ってもらうのも選択肢でしょう。昨今は、退院となっても他の病院に転院できたり、介護老人保健施設(老健)に入所できたりする可能性があります。老健とは介護保険で入る施設で、病状が安定していて、入院治療の必要がない要介護1以上の方が対象です。病院と自宅の中間的な施設で、リハビリなどを行って在宅復帰を目指します。入所できる期間は3カ月ほどです。
いずれにしても、入院中の病院に所属する医療ソーシャルワーカーに相談を。具体的な転院先や老健の情報を教えてくれます。検討の結果、すぐに自宅への退院を選ぶなら、介護保険でホームヘルプサービスやデイサービスなどの居宅サービスを利用し、可能な限り、母親の負担を軽減する策を考えたいものです。