健康コラム
ほっとひと息、こころにビタミン vol.102

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。
【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕
行動を変えてほしいときのアドバイスは?
今回は、アドバイスのコツについて書きます。私は、新聞や雑誌で相談に乗る機会があるのですが、親しい人の振る舞いを見て、もっと良い対応をしてほしいと考えて、アドバイスの仕方について相談してくる人が少なくありません。
相談文を読むとその人の優しさが伝わってくるのですが、まわりから助言しても、相手の人はそう簡単に行動を変えてはくれません。それどころか、反発されることも少なくありません。せっかくの助言に反発されるとがっかりしますが、そのように反発されるのは、あることをしないようにしたほうが良いと、相手の行動を抑止するような発言をしている場合がほとんどです。
反発されるのには、2つ理由があります。1つは、人はそれぞれ当たり前と思っていることが違うからです。ある行動が良くないと言うと、自分の当たり前を相手に押しつけることになります。その結果、自分の当たり前が相手の人の当たり前とぶつかって、反発されることになります。
もう1つは、私たちは一般的に、何かをしてはダメだと禁止されると、逆にそれをしたくなる傾向があります。ですから、ある行動をやめるように言われると、かえってそれをしたくなります。
好ましくない行動のように見えても、その人にはその人なりの理由があってそうしているのです。本人が必要性を感じないと行動は変わりません。ですから、冷たいように思えるかもしれませんが、その人が困るまで待つしかありません。その上で、助けを求められたときに手助けすると、受け入れられる可能性が高くなります。
大野 裕(ゆたか)
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる!うつの人が見ている世界』(池田書店)など。