健保ニュース
健保ニュース 2026年7月下旬号
9年度薬価改定の検討開始
中医協部会 実施前提に範囲を検討
中央社会保険医療協議会の薬価専門部会(部会長・菅原琢磨法政大教授)は8日、令和9年度薬価改定の実施に向けた議論に着手した。厚生労働省が、昨年末の財務、厚労両相の折衝で「9年度薬価改定を着実に実施する」ことに合意したことを踏まえ、実施を前提に対象品目の範囲と適用するルールを検討することを提案し、了承された。次回以降、関係業界からも意見を聞き、議論を深める。
閣僚折衝では、9年度薬価改定の対象品目の範囲や適用されるルールについて、「創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保、現役世代の保険料を含む国民負担の軽減といった要請についてバランスよく対応するとの基本的な考え方を踏まえて検討する」とされている。昨年末に中医協総会が承認した「8年度薬価制度改革の骨子」にも、同じ内容が明記された。
9年度は、2年に1度の診療報酬改定がない中間年に当たる。中間年の薬価改定は、平成28年末の4大臣合意で決定した「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」で、国民負担を抑制するため、市場実勢価格との乖離が大きい品目を対象に行うとされた。
3年度と5年度の薬価改定は、一定の乖離率を超える品目を対象に、実勢価改定と連動する算定ルールを主に適用した。7年度は創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保といった観点を加え、品目ごとの性格に応じて対象範囲を設定した。革新的新薬薬価維持制度の累積額控除など実勢価改定と連動しない算定ルールの適用が増えた。
こうした経緯を踏まえ、厚労省は対象品目の範囲や適用される各種算定ルールのあり方についての意見を求めた。
健保連の佐竹陽一理事は、対象品目の範囲を狭めると、イノベーションの推進や安定供給の確保のための財源が限定的になる可能性があると指摘した。
その上で、「対象品目を広く設定し、適用ルールをすべて議論の俎上に載せて、メリハリのある対応が必要だ」と主張した。
江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は、価格乖離の大きな品目を調整するという中間年改定の役割を強調し、「その時どきの経済状況、財政状況、医療機関や薬局の経営状況などを勘案し、幅広い視点で対応することが重要だ」と述べた。品目ごとの供給状況の勘案も検討する必要があるとした。
また、薬価の引き下げにより生じた差額を国民に還元することについて、「医療の質の向上という形での還元も含まれている」との認識を示し、「薬価改定で得られた財源の一部を、診療報酬との密接な関係の中で捉えることが重要で、これにより医療の質の向上につなげていくことを前提とした議論を積み重ねる必要がある」と主張した。
5年度薬剤費は10.5兆円
厚労省は8日の同部会に、薬剤費の年次推移を報告した。5年度の薬剤費は10.5兆円で、国民医療費(48.1兆円)の21.9%を占めた。
公定価格である薬価と実際に医療機関や薬局が購入している市場実勢価格との差を示す推定乖離率は6.0%(前年度比1.0%減)だった。