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健保ニュース 2026年8月合併号

高齢者の医療費窓口負担の見直し
鈴木会長 安定財源の議論も注視
皆保険維持へ意見発信 健保連総会

健保連は7月24日、第227回総会を開いた。冒頭にあいさつした鈴木伸弥会長は、政府が同月21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」で、現役世代の保険料率の引き下げが打ち出され、「給付と負担の改革を継続していく」と明記されたことに言及。70歳以上の高齢者の医療費窓口負担の見直しに向けた改革工程表を「2026年末まで」に策定するなどとしたスケジュールを踏まえ、「安定財源(の議論)にも注視していく必要がある」と述べた。また、国民皆保険制度の持続可能性を確保するための議論の展開を見通し、「適切な意見発信をしていきたい」とした。〈鈴木会長の発言要旨は次の通り。〉




本日の総会は、4月の役員改選後、初めての総会となる。議員の皆様におかれては、猛暑かつご多用のところお集まりいただき、お礼申し上げる。本日は、来賓として、公務多忙の中、栗原渉厚生労働大臣政務官にご臨席いただいている。栗原政務官からは後ほどごあいさつをいただくので、よろしくお願い申し上げる。

日本を取り巻く経済社会情勢を概観すると、ここ数年、世界では超大国による力の行使が目立ち、当たり前だと思っていた、法の支配や民主主義といった規範から遠ざかっているような感覚に襲われる。

6月に開催されたG7エビアン・サミットでは、こうした動きに対し、国際秩序の維持に向けた共同声明が取りまとめられた。しかし、中東情勢はいまだ先が見通せない状況が続き、石油関連素材の供給への影響や、エネルギー供給の先行き不安による物価高騰への波及などへの懸念が続いている。

一方、国内に目を転じると、今春闘で、3年連続で5%を超える賃上げが実現したことは大変心強い。企業の継続的な努力の成果もあり、こうした賃上げの流れが、中小企業を含めて広く波及し、継続していくことを期待したい。

こうした中、国内の景気動向は緩やかな回復傾向にあるが、不透明な世界情勢や、円安傾向が続いていることなどによる物価上昇への懸念から、勤労者が家計の豊かさをなかなか実感しにくい状況だ。以上の通り、内外の情勢は引き続き不透明で、国民皆保険という日本が培ってきた良さをどう守るかに留意しなければならない。

政府は7月21日、高市政権で初となる「骨太の方針」を閣議決定した。その中で、社会保険料については「現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていく」との方針の下、「給付と負担の改革」を継続する旨が盛り込まれた。

また、(連立政権合意書に基づく)社会保障改革項目の具体化と工程の明確化は「2026年度中」、医療保険制度の(高齢者の医療費窓口負担割合の見直しに向けた)改革工程表の策定は「2026年末まで」とされており、(社会保障を支える)安定財源(の議論)などにも注視する必要がある。国民皆保険、社会保険制度を持続可能とするための議論が展開されていくが、健保連としても適切な意見発信をしていきたい。

自民議連の活動
健保連の主張を後押し

今特別国会(25日閉会)では、5月29日に「健康保険法等の一部改正法」が成立した。ここに至るまで、各方面の方々にご尽力いただき、まずは関係者の皆様に改めて深く敬意を表したい。今回の制度改正は、「現役世代の負担軽減」、「世代間・世代内の負担の公平性の確保」、「保険給付の適正化・重点化」など、これまで健保組合・健保連が強く訴求してきた主張に沿っており、一定の評価ができる。

主張の実現にあたっては、国民の理解を前提に、政治の力が重要であることはご承知の通りだ。5月26日には、自民党の「国民皆保険を守る国会議員連盟」が総会を開き、「骨太方針2026および令和9年度予算概算要求に対する要望」をまとめた。

その中には、「後期高齢者医療制度の給付費のうち、現役並み所得者の給付費への公費投入」など、健保組合の要望も採り入れられ、財務、厚労両相に申し入れされた。私たちの要望実現に向けた大きな一歩となるもので、こうした活動の重要性を実感した。

一方で、4月に発表した令和8年度の健保組合予算早期集計では、賃金の上昇で保険料収入は増加したものの、診療報酬の大幅な引き上げや高齢者医療への拠出金の増加が影響し、依然として7割を超える組合が赤字予算となった。

さらに、2025年の出生数は67万人と過去最少を更新し、少子高齢化の流れが続いている。現役世代の減少は、日本経済だけでなく、国民皆保険制度、ひいては日本の社会保障制度の支え手の減少につながり、制度そのものの持続可能性が危ぶまれる状況だ。当然ながら、健保組合にとっても非常に厳しい環境の下での運営が続くことになる。

サポートプラン推進し
提言の取り組みを支援

現役世代の負担軽減を通じた全世代型社会保障の構築、国民皆保険制度の維持に向けた抜本的な改革の早期断行には、国に対してはもちろん、国民、マスコミなど、あらゆる方面に対し、現状の厳しさと今後の改革の方向性を訴えていかなければならない。

しかし、6月に発表した「医療・介護に関する国民意識調査」の結果では、今後の負担のあり方や制度の見直しに関して、一定程度の理解があることが示されたが、「わからない」や「知らない」とする回答も多かった。

一方、昨年策定した「『ポスト2025』健康保険組合の提言」では、国民に知っていただきたいことや、実践していただきたいことを「3つのお願い」に込めた。全ての前提となる「加入者、国民の理解と応援」を得るためには、引き続き、粘り強い周知が必要だ。

そして、加入者の期待に応えるために、健保組合における各種健診の環境整備やコラボヘルスの推進など「4つの約束」と、保健事業の充実・強化をはじめとする保険者としての機能強化を目指した「5つのチャレンジ」を健保組合の取り組みとして掲げた。健保連は、こうした会員組合の取り組みを支援するため、共通支援と個別支援を組み合わせたサポートプランを推進する。

今後の健保組合の保険者としての機能や、事業主と一体となった取り組みに対する強い期待にしっかり応え、加入者が健保組合のアクションを実感することで、加入者の理解が進み、我々の主張や取り組みを応援していただけるステップが重要だ。対処すべき課題に対し、健保連としても、皆様とともに取り組んでいくので、よろしくお願い申し上げる。

本日は、令和7年度の事業報告、決算関係を中心にお諮りすることとしている。議員の皆様の活発なご意見とご審議をお願い申し上げて、私のあいさつとする。

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