健保ニュース
健保ニュース 2026年9月下旬号
次期制度改革の議論開始
米川副会長 保険料と公費の役割分担も論点
医療保険部会は11日、次期医療保険制度改革に向けた議論を開始した。最大の争点になるとみられる70歳以上の高齢者の医療費窓口負担については、政府が7月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」や、自民党と日本維新の会が合意した社会保障改革項目に関する具体的な骨子で、公費負担のあり方を含めて年末までに改革工程表を策定するとされている。
この日の部会では、骨太の方針や社会保障改革の骨子、5月に成立した改正健康保険法の附帯決議などについて、厚生労働省から説明を受け、フリートーキング形式で意見交換した。
健保連の米川副会長は、今後の医療保険制度改革に向け、「中期的視野に立った検討が重要だ。3~5年程度先の姿を具体的に描き、目指す方向性とプロセスを極力具体化することが求められる」と述べ、着実な改革の実行につながる工程表の策定を求めた。
その上で、現役世代の保険料負担を抑え、手取りを増やすためには、「従来の制度改革の延長線では限界があり、保険料と公費の役割分担など新たな視点も含めて検討する必要がある」と指摘した。
具体的には、高齢者の年齢区分の見直しや、年齢にかかわらず負担能力に応じた窓口負担割合の設定、75歳以上の現役並み所得者の医療給付費への公費投入などを訴えた。あわせて、給付の効率化や適正化も重要だとし、医薬品の使い方や保険給付の範囲のさらなる見直しも必要だとした。
また、真に公平な応能負担の実現には、DXの活用をはじめとするインフラ基盤の整備がポイントになるとし、「マイナンバーカードの義務化を含め、(保険証としての活用の)次のステップを具体的に示すことで、公平な負担の実現に向けた検討の幅も広がる」と話した。
北川博康委員(全国健康保険協会理事長)は高齢者の医療費負担について、「公費のあり方を含めて検討し、給付と負担のバランスを見直すことで現役世代の負担軽減につなげることが重要だ」とし、工程表の着実な実行を促した。
林鉄兵委員(連合副事務局長)は「安心して医療・介護・福祉サービスを受けられる体制の整備のためには、継続的な処遇改善と勤務環境改善の取り組みをさらに進める必要がある」と強調した。国民年金の第3号被保険者制度の見直しが始まったことにも触れ、「健康保険の被扶養者についても議論を始める必要がある」と指摘した。
袖井孝子委員(高齢社会をよくする女性の会理事)は、窓口負担が3割となる75歳以上の現役並み所得者の医療給付費には公費負担がなく、現行の仕組みのまま3割負担の対象を拡大しても、かえって現役世代の負担が重くなる問題に着目し、「決して現役世代の負担軽減につながらないと思うが、厚労省はどう考えているのか」と疑問を呈した。
城守委員は高齢者の医療費窓口負担の見直しについて、「高齢者には複数の疾患を抱えている人や、低所得者が非常に多い」などとし、低所得者に配慮しながら段階的に進めるよう求めた。