健保ニュース
健保ニュース 2026年9月下旬号
厚労省 医療DX推進方針を決定
電子カルテ普及計画も
厚生労働省は9日、ヘルスケア分野におけるAI(人工知能)の利活用とDXを戦略的・総合的に進めるための「ヘルスケアAX・DX推進本部」(本部長・上野厚労相)を開き、今後の医療DXの方向性を示す「医療情報化推進方針」と「電子カルテ普及計画」を決定した。
同方針は近く告示され、10月1日施行の予定。8月の社会保障審議会医療保険部会で了承された方針案から変更はない。
上野厚労相は会議の最後に「いずれも医療DXを進化させるために重要かつ不可欠なものであり、施策の実現や、より質の高い医療・介護サービスを受けられる環境整備が真のゴールだ」と述べ、各部局長に対し、関係者との連携を密にして施策を確実に実施するよう指示した。
同方針は昨年10月に成立した改正医療法に基づくもので、医療DX推進の意義や基本的な方向性、国やDX審査支払機構(支払基金が10月に改組)などが取り組むべき事項を定める。10月から2030年3月までを第1期と位置づけている。
一方、電子カルテ普及計画は同方針に基づき、▽クラウドネイティブ型電子カルテの普及▽全国的な医療情報の連携▽サイバーセキュリティー対策の強化──を狙いとする目標や施策を盛り込んだ。
計画は普及の基本的な考え方として、電子カルテは医療機関の基幹業務システムであるだけでなく、患者に質の高い医療を提供するとともに、創薬や医療機器開発を含む、様々なライフサイエンスの基礎データを創出する情報基盤としての役割を持つとした。
また、サイバーセキュリティー対策を含め、「必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテ」の普及に向けた取り組みは、「国民に質の高い医療を効率的かつ安全に提供することを目指すもの」とした。
目標には、28年度までに200床以上の病院(療養病床などが中心の病院を除く)で電子カルテ普及率100%、30年までに①電子カルテ普及率約100%②地域の拠点病院のサイバーセキュリティー対策100%③大病院向けクラウドネイティブ型製品の提供──を目指すと明記した。
施策については、「中小病院・医科診療所向け」「大病院(機能が高い病院)向け」などと、医療機関の状況やニーズに応じて複層的な支援を展開し、医療情報システムのクラウドネイティブ化を目指すとした。
直近の普及率
保険医療機関数で算出
同計画には直近の普及状況も記された。普及率はこれまで、厚労省が3年に一度実施する医療施設調査に基づいて算出しており、直近で公表されている21年の数値では診療所(歯科診療所を除く)が55.0%、病院が65.6%となっている。
ただ、同調査による算出では、美容医療など保険診療を行わない医療機関も母数に含まれる。厚労省は「必要な患者の医療情報を共有する」という電子カルテの趣旨に照らし、こうした医療機関を母数から除外するのが適当と判断。今回の普及計画には、支払基金が保険医療機関を対象に6月に実施した導入状況のアンケート調査の結果も示した。それによると、診療所(同)は72.6%で、病院は77.9%だった。
このほか、来年度予算の概算要求に盛り込んだ、AIを活用した創薬・医療・介護分野の主要施策も確認した。